ルイヴィトンサイト
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null 四年生ぐらいの、賢そうな男の子が尋ねた。 「日曜日にひらく学校や」  傍らで聞いていた中山牧師とその夫人が顔を見合わせた。大阪から来て、同じく間借りしていた美しい熊谷ヨシ子も保郎に目を向けていた。 「ふーん、日曜日も勉強するの、いややなあ」  がっかりした声だ。 「学校の勉強とはちがう。ここは神さまのことを勉強する学校や」  中山牧師は少し安心したようにうなずいた。 「なあんや、神さまか。うちにも神さまならおるわ」 「うちにはおらんわ。うちには、ほとけさんしかおらん」 「うちには、神さまも、ほとけさまもおるわ」 「神さまなんか、どこにもおらへんで」  子供たちは活発に思い思いのことを言う。保郎は沼《ぬ》島《しま》の生徒たちを思い出しながら、にこにこしていた。古びた軍服姿は、外地から復員して来た者たちと同じだが、子供たちには先生と見えるのか、女の子が大きな声で言った。 「先生! うちなあ、神さまってきらいなんや」 「何でや!? 何できらいなんや」  保郎は目をまるくして見せた。 「何できらいなんや」  小さな子が保郎の口真似をした。みんながどっと笑った。女の子は笑いもせずに、 「そうかて先生、神さまってばちを当てはるやろ。うちのお父さんもお母ちゃんも、何かいうたら、神さまのばちが当たる、神さまのばちで目ぇ見えんようになるって、言わはるもん。うち、神さまきらいや」