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ヤヨイクサマパンプキンドット財布編集

 しかしすぐさま、彼女はさっきまで河であった泥の道に日をやる。  そこには足跡が残されていた。  上流の方に向かっている。 「——追わなくては」  ヨンもまた、白い闇の中を走り出す。  しかし、彼女にももうわかっている——自分や、仲間たちがどんなに急いだとしても、虚空牙と兵吾の決着には間に合わないのだ、と。  彼女たちが戦いの場に追いつくとき——既に勝敗は決してしまっているに違いない。  どちらかが倒れる——そして兵吾が敗れていたら、ここで侵入してきた敵を倒すことができても、貴重なナイトウォッチのコアの一人を失っては�外側�の宇宙空間で迫ってきている本物の虚空牙の方を食い止めることができないだろう、ということも—— (……兵吾くん……!)      2.  兵吾の賭《かけ》は結局、成功も失敗もしなかった。  河におびき寄せて、その敵の槍で水面を突かせればかなりの反応が出るだろう、その隙に倒す——というつもりだったのだが、確かに槍を水面に入れる、というところまでは成功したのだが、その効果が余りにも劇的すぎた。  まさか河全体が吹っ飛んでしまうとは思いもよらなかった。とっさに光線銃をぶっぱなしはしたのだが、こっちも水飛沫と衝撃波で相手が確認できない。当然命中しなかった。  だが、河が�溝�に変わったのを見たとき、兵吾はとっさにその溝に向かって走り出していた。  誰も巻き込まずに、安全に突き進める道ができた、と判断していた。こういう洞察力こそが、彼が人類史上有数の�戦闘の天才�である証《あかし》だったが、もちろん本人はそんなことに気がつきもしない。  ただ、ここから離れなくてはならない、という意識があり、それの根本を成しているのがごく近い位置にいる槇村聡美であることは、この朴念仁《ぼくねんじん》も薄々は理解していた。
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