セレブ愛用 ルイヴィトン コピー ダミエ アズール イーヴォラMM ハンドバッグ ホワイト N41133
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null 君彦は、悲鳴をあげてブッ倒れる米兵をろくろく見極めもせずに、次から次へと目標を捕えて、正確きわまる死を送った。その後ろではバズーカ弾を喰った味方の戦車が赤黄色い炎を吹きあげ、君彦の背にもその熱気が伝わってきた。前方では敵味方の死体が累々と折り重なって倒れ、血と肉片で岩を赤黒く染めていた。  機銃の上に突き出た弾倉の実包を射ちつくした君彦は、弾倉止を前方に圧しながら弾倉を外し、予備の弾倉を装填《そうてん》して目を上げると、重機関銃を咆哮させながら野牛のように驀進《ばくしん》してくるシャーマン戦車を認めた。  手榴《しゆりゆう》弾の安全ピンを引き抜き、銃床に叩きつけて信管に発火させ、立ち上って戦車に投げつけた途端、左の肩口に物凄《ものすご》い衝撃と焼けるような烈痛を感じて、君彦はタコツボの中にふっとばされた。その上をキャタピラーで岩を噛《か》み砕き、熱い下腹をくねらせながらモウモウとガスを吐いてシャーマンが通りすぎた。——もう二度とリングに立てない——不吉な意識がひらめき、君彦は落下する岩石のかけらに埋もれながら失神した……。  防波堤が間近に迫ってきた。そのはずれの赤燈台の下で、数人の男が点滅する燈火に引き寄せられる魚を求めて、長い釣竿《つりざお》をたれていた。  君彦は火の消えたタバコに気づいた。投げ捨てられたタバコは命を失った蝶のようにくるくる舞いながら舷側にそって落下し、船のたてる波に砕ける銀色の夜光虫の群れの中に吸いこまれていった。  君彦は唇にへばりついた巻き紙を手の甲で強くぬぐって、新しいタバコに火を点《つ》けた。船首に古タイヤを鈴なりに括《くく》りつけたタッグボートが、エンジンをとめた連絡船を桟橋に押しつけた。  けたたましくドラが鳴った。左手にスーツケースを軽々と提げて、君彦はタラップへ急ぐ人波の中にとけこんだ。タラップを渡ると、地鳴りのような街の息吹きとざわめきが足もとから伝わってきた。  雑踏する桟橋駅出口。船の霧笛と、接着する汽車の汽笛が高く低くひびいている。  新田は先ほどから円柱の蔭に立って、鷹《たか》のような目を駅から吐きだされる群衆に注いでいる。その横で太田がタバコをたてつづけに吸いこむ。 「分ったな? 奴には空包をつめた銃を渡すから、いかにも弾が当ったように引っくり返るんだぞ」  新田は太田の方を見ずに、唇だけ動かして低い声で言った。 「そうやって、奴さんをのっぴきならぬ所においこもうって寸法ですね。お安い御用でさあ。だが、奴さん今晩帰ってくるんでしょうかな?」  太田は目を改札口に走らせた。 「あの電報で帰ってくるだろうぜ。女が打ったことは電報局でたしかめた。ほら、噂《うわさ》をすれば影とやら、あの皮ジャンパーの背の高い男だ。抜かるなよ」  新田はしなやかな身のこなしで、自分の横を足早に通り過ぎようとする田島の右横に廻りこんだ。タバコを踏みにじった太田がすっとその後にくっつく。 「田島君彦だな?」  新田は、足をとめずに横目で不審気な視線を走らせる田島に、低く圧《おさ》えつけるような声で尋ねた。