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ルイ ヴィトン 公式編集

 嘘だ。そんな筈はない。だってあの時、織は嘔吐している彼に近寄って——— 「式はただあそこにいただけだろ。少なくとも、僕はそれしか見ていないんだ。だから信じる事にしたんだよ」  嘘だ。ならどうして屋敷を見張る。  ———彼に、近寄って——— 「ま、白状すると本当は辛いんだ。だから今は努力してる。自分自身に自信が持てるようになったら、式の話を聞けるようになれるだろう。だから、今はその話はよそう」  どこか拗ねるようなその表情に、私は逃げ出したくなった。  ———近寄って、織は、間違いなく黒桐幹也を殺そうとした———  私はそんな事を望んでいなかったのに。  幹也は信じるといった。  私も、そんな事を望んでいなかったと信じられれば、こんな未体験の苦しみを味わう事はなかっただろうに。           …  その日以来、私は幹也を完全に無視する事にした。  二日ほど経ってあちらも私に話しかけてくる事はなくなったが、深夜の張り込みは続いていた。  冬の寒空の下、夜中の三時頃まで幹也は竹林の中にいる。おかげで私は夜の散歩もできないでいた。  張り込みはすでに二週間ほどになる。  それほど殺人鬼の正体を暴きたいのか、と私は窓から彼の様子を盗み見た。
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