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ルイヴィトンダミエアズールジェロニモス編集

「そのゴミのなかにも、危険な物質が一杯あるのです。腐って土になってしまうようなゴミならば、死体のようなものでも問題はありません」 「鉄ですか?」 「いえ、鉄は錆《さ》びてくれます。千年もすれば分解してくれます。しかし、現代の我々の世界には、それ以上に危険なゴミが山ほどあるのです。これは比喩《ひゆ》ではなくて、本当のことなのです。いつまでも、人の身体に危険な化学物質から放射能まで……」 「地上人がいっぱい使う電気は、問題ないのでしょう?」  アリサが、例として持ち出してくれた電気は、この世界でも、オーラ・マシーンをとおして開発されていたので、少女たちもよく知っているからである。 「水力、火力、地熱、波浪と発電の仕方はいろいろありますが、大量の安定した電力を確保することはできません。ですから、新しい科学技術である、原子力による発電も行います。これが、とても特別な熱を利用しているのですが、人を殺してしまうような危険な熱なのです。しかし、電力の需要が莫大《ばくだい》すぎて、使わざるを得ないのです」 「火と同じではない熱?」  パットフットがきいてきた。 「はい。火とは、性質が根本的にちがいます。鉄のような丈夫な物のむこうに置いておいても、その特別な熱は人を殺すことができるのです。科学は、そういうものを発見し、利用してしまうのです」 「藁《わら》でかまどを作って火を使うようなことでありましょうか?」  飛躍してはいたが、エレのすさまじい譬《たと》えに、ジョクはうなってしまった。 「そう……そうなのでしょう……」  エレのいう藁のかまどを、地球だと考えれば、環境汚染の問題は、わかりやすくなる。  かまどに藁をつかいながら、藁で大丈夫だといいきる科学者と政治力学が密着した世界が、地上界なのだ。 「しかし、暮しはとても楽になっています。ですから、人びとは、つい、安易な方向に解答をもとめてしまって、目の前の便利さに走って、その危険性には目をつぶるという、バランスを欠いた考え方に取りつかれているようです」 「それが、地上人の物質至上主義という考え方ね?」  アリサが、いつもの言葉遣いにもどってくれた。 「教えてくださいませ。今までの説明と物質至上主義という考え方の関係が、まだよくわかりません」
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