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2015-01-26 13:34    ヴィトン
 途中から沈むスピードは急になるに違いないが、それでもギリギリで後五分はもちそうだと、山脇船長は思った。  それまでに、とにかく乗客を全部救命艇に乗せて、本船から離さなければならない。  一万一千トン近くある鋼鉄の八坂丸が海に沈んで行くのだから、その瞬間は救命艇でも本船からかなり離れていなければ、危ないだろう。  どんな渦が出来るのか、こんな経験はなかったから知らないが、まず救命艇は五十メートルは離れていなければ、安全とは言えないと山脇船長は思った。  Uボートが浮上するかどうかはともかくとして、今は沈んで行く本船から乗客を脱出させることだ。  カナリヤの籠を……と叫ぶイギリス女から、部屋番号を訊くと鍵を受け取った水夫の大橋捨吉は、揺れる床を踏みしめて、船内にとって返す。  事務長の河田は船長を見ると、 「乗客の皆様には、脱出訓練と同じように、ボートの順に集まっていただいております」  髪こそ救命胴衣をかむったので、少し乱れてはいたが、落ち着いた声で報告する。  書記《クラーク》の栗原が河田に、制帽を持って来て手渡した。 「よし、事務長、御苦労さま」  船長はねぎらって、顔を乗客に向ける。 「皆さん。  不幸にも本船に魚形水雷が命中してしまいました。  修理も不可能な状態で、沈没は避けられません。これから皆様に、訓練の手順に従って救命艇に移っていただきます。  十分に時間がございますので、どうぞ御心配なく」  山脇船長が英語でそう叫ぶと、すぐ河田が早口のフランス語で繰り返した。 「船長ッ、どうやら本船の沈むのは止まったようです」