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 風呂から上がると、客間で西園寺公朝が待ちかねていた。四半刻も前に着いたが、知らせなくていいと言ったという。 「長の戦からの帰洛《きらく》やないか。湯くらいゆっくり浴びんとな」  丸い顔に愛想笑《あいそわら》いを浮かべて殊勝《しゆしよう》なことを言った。 「ご配慮いたみ入ります」 「これは麿《まろ》からの引き物や。受け取ってくれような」  公朝にうながされて、供の者が二尺三寸ばかりの黄金作りの太刀を運んできた。  古来朝敵を平らげて凱旋《がいせん》した武将には、朝廷から太刀を贈るのが習慣《ならわし》である。公朝はこれに従ったのだった。 「ほんまは勅使としてこれを贈りたかったんやけど、なかなか難しいこともあってな」 「かたじけのうござる。今後ともご尽力いただけますよう、重ねてお願い申し上げまする」  久秀はうやうやしく太刀を押しいただいた。 「そこでや。今日は二つばかり頼みを聞いてもらわなならん」 「何なりと、お申し付け下され」 「ひとつは山国荘(京都府|北桑田《きたくわだ》郡|京北《けいほく》町)のことや。あそこが禁裏御料所ちゅうことは、おことも知っとるやろ」 「承知いたしております」 「ところが波多野は長年これを押領《おうりよう》しとった。今度三好の領国となったからには、御料所分の年貢は禁裏に納めてもらわなならん」 「それはかなり難題でございまするな」 「なんでや。三好家の力をもってすれば、容易なことやないか」 「御料所は長年国人衆が我が物のごとく支配しております。急に朝廷に返せと命じたなら、せっかく当家に服属した者たちが反乱を起こすやも知れませぬ」
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