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 明日香は急いで中に飛び込み、ドアが閉められると同時に、ホーッと肩で安堵の息をついた。  ドアに鍵をかけた稲垣がふりむき、すぐ明日香を抱き寄せ、キスを見舞う。 「ああーん……」  軽く受けはしたが、明日香はまだ動悸が激しくて、それどころではない。 「変ですねえ。表でみたという人、本当にご主人だったのですか?」  稲垣がリビングに誘いながら、訊いた。 「ええ、間違いなかったと思うの」 「ふーん。会社の用事じゃなかったんですか」 「主人はセールスマンや営業マンじゃないわ。こういうところに来る理由が、見あたりません」 「じゃ、やはり愛人通いか。レンタルルームのお客さんだったのかな」  稲垣が冷蔵庫からワインをとり出しながら、何気なく言った。 「レンタル……って、それ、何?」  明日香はリビングのソファに坐って、聞き返した。 「ああ、このマンションはね、ちょっと変わってるんですよ。入った時、何だか変だと思いませんでしたか?」 「そういえば、メールボックスを見たら、三分の一くらいネームカードがなかったわね。分譲の部屋がまだ、売れ残っているの?」 「いいえ、完売。発売後、すぐ売り切れたんです。しかし、おかしなことに三分の一くらい、今でも居住者がいない部屋があります。いわば、ゴーストルームというやつがね」 「あ、わかったわ。リゾートマンションみたいに、お金持ちが投資のために買って、所有者はいるけど居住者はいない、というわけね?」 「そうそう。休みの時に遊びにゆくリゾート物件とはちょっと違うけど、要するに、医者や弁護士、事業経営者などが、税金対策のために事務所と称してマンションを買っておき、値上がりを待ってるんですよ。そういう空き部屋が二十室以上ありますからね。逆にいえば、そういう部屋は、どうにでも使えるわけで、ここ、六本木愛人マンションといわれてるんです」
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