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ルイヴィトンダミエアズール汚れ編集

 くやしかった。  噛みしめた唇から血がにじむぐらいくやしかった。  そのくやしさにつき動かされ、おれは闇雲に走りつづけた。  と、目の前に黒塗りの車が現れた。  足を止める。車も急ブレーキで止まる。  ドアがいっせいに開き、数人の黒ずくめ黒サングラスの男が現れた。  な、なんだよ、こいつら。戦場に場違いな服装。だけど、全身から漂ってくる気配は戦場そのもの。 「神名綾人くんだね……」  野太い声だった。 「だ、だったら、どうしたんだ」  思わずいってしまう。ほんとは助けて! って叫びたかったのに。 「一緒に来てもらおう」 「いきなり、なんだよ。おれ、友だちを見捨てるわけにはいかないんだぜ」 「きみの友人の安全は当方で確認する」 「勝手だな。まず、名乗るのが普通だろ」 「たしかにな……」  男はうなずくと、懐からオートマチックを引きぬいた。 「説明してきみの同意をもとめているヒマはないんだ」
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