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プラ ダ長財布新作編集

 疲れたように息を吐くと、鬼王丸は無造作に太刀を振った。鎧の男が声もなく倒れる。  あとには漂う血の臭いと、焦土と化した里だけが残された。  鬼王丸は風にゆるゆると髪をなびかせている。景行は無言だ。  遠くに柊の姿が見えた。燃えさかる炎を背にしていても、彼女はやはり美しかった。 「将門……」  強く太刀を握りしめ、敦隆は立ち上がった。  矢の刺さった脚を引きずって、鬼王丸の前まで歩いていく。鬼王丸は無言でそれを見返した。 「あんたが、将門だったのか」  血を吐くような声で、敦隆は言う。  鬼王丸は黙っている。  敦隆はなにもかもを失った。野伏が甲斐国に流れこんできたのも、国府の追捕使が動かないのも、すべては将門という男のせいだ。逆賊の残党。そして朝廷。そんな巨大な力を相手に、敦隆はあまりにも無力だった。だが—— 「だとしたら、どうする? ここで俺の首級をあげるか?」  鬼王丸が自嘲めいた笑みを浮かべる。 「都の官僚たちの鼻も明かせるし、おまえを見限り、離れていった連中を見返すこともできるはずだ。領民たちの尊敬も得られる。褒賞もおそらく望みのままだぞ」  鬼王丸の声にふざけた響きはなく、俺はそれでも構わない、と言っているようにも思えた。  敦隆は黙って鬼王丸を見つめ、太刀を握る指先に力を入れる。
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