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2015-02-05 17:05    楽天 シャネル 財布
 わずかに大庭の力が緩んだ隙を捉《とら》えて、俺は裏投げの要領でコンクリートに叩きつけた。そのまま手首の関節を極《き》めて体重をかける。俺とほとんど変わらない体格だったが、スムーズに押さえこむことができた。大庭に武道の心得はないようだった。  階段の方からざわめきと足音が聞こえてくる。きっとここでの騒ぎに気付いたのだろう。すぐに人がやって来るはずだ。大庭は俺の下でまだ動こうとしている。くぐもったうめき声は泣いているように聞こえた。  俺はほっと息をついて篠川さんを振り返った。彼女は力が抜けたように車椅子に座っていた――ふと、俺はさっき送られたメールの文面を思い出した。「隙を作ります」という文章は、きっとこのことを指していたのだろう。大庭が病院へ来ると分かった時から、『晩年』を燃やすつもりでいたのだ。 「……本当に、よかったんですか?」  俺はそう訊かずにいられなかった。本を愛してやまない彼女が、こんなことをするなんてまだ信じられなかった。篠川さんはしばし考えてから、きっぱり言った。 「ええ……こうしないと、いけなかったんです」  数百万円の本が黒い灰と化して、ふわふわと空に上っていく。彼女は穏やかな目でそれを見つめている。彼女の落ち着きぶりに俺は驚いていた。まるでなに一つ失っていないかのようだった。  大庭がもうこの人を脅かすことはないだろう。事件は決着したのだ。 「……あら?」  篠川さんは手を伸ばしてなにかを拾い上げる。男物の革のカードケースだった。俺のものではないから、きっと大庭が落としたものだろう。二つ折りのケースだったが、何枚かカードが飛び出しかけている。そのうちの一枚を引き抜くと、彼女の顔色が変わった。 「五浦さん、これ……」  かすれた声で言い、そのカードを見せた。薄暗い中で俺はできるだけ顔を近づける。それは運転免許証だった。写真は大庭のものだが、名前が違っていた。 『田中敏雄《たなかとしお》』  それが本名なのだろう。笠井菊哉でも大庭葉蔵でもなく。なんというか、地味だ。偽名を使いたかったのもそのせいかもしれない――。 「えっ?」  俺は愕然《がくぜん》とした。一ヶ月ほど前にも、よく似た名前を目にしたことがある。自分が組み伏せている男を見下ろした。俺と同じように背が高い。そういえば、篠川さんは俺と大庭葉蔵の声が似ていると言っていた。  鎌倉の長谷の生まれだと志田には話していたらしい。先祖代々の墓もあると。もしそれが本当だとすれば、当然この男の祖父も鎌倉に住んでいたはずだ。 「……ひょっとして、お前のじいさん、田中嘉雄っていうんじゃないのか?」