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2015-02-05 17:43    財布新作ブランド
 単に機を見るに敏なのか。それとも……自らの指示で『事故』を起こし、相手が窮したところに手を差し伸べたのか。  いずれにしても、切れる男だ、ネルは思う。  明るく、友好的で人懐っこい態度の向こうで、鋼の刃を握っている。その刃は、意志であり、策謀であり、理想である。君主だ。国を統《す》べる人間だ。  しかしそれは同時に、自らの内に約束された地を持ち、そこに至る途上にあるものすべてを巻き込んで進む、苛烈な姿でもあるのだ。  君主というものは、その存在自体に、庶民とは対立する価値が必ず含まれている。この皇太子は、それを否定しない男だ。それゆえに、彼の器量がネルはおそろしかった。 「とりあえず、私はいまの場所から動く気はありません。あなたがなんらかの威《おど》しを示すのなら、私にはどうしようもありませんが」  爆発事故のことをかすかににおわせて、ネルは皇太子に告げた。 「……なるほど、あんたは思慮深い人間だ」  シュゼールはネルの内側を覗き込むようにして目を細めた。『人』を求める君主の目だった。 「ますますあんたが欲しくなった。あんたは、従来の戦争の概念を一変するような兵器を発明しうる人間だ。水気を利用した兵器、世界を制することのできる兵器だ。論文を読んで、確信した。あんたは突出している。あんたにしかできないものが、確かにある」 「……買いかぶりですよ」  不安を抱えながらも、ネルはいささかのおびえも見せずに答えた。このような相手は、おびえの隙を見逃さない。そしてそれをこじ開けて、中にあるものを掴むことに、容赦はしないのだ。きっかけとなる隙は、わずかでも示してはならなかった。  シュゼールは、まだ君主の目を緩めずネルの横顔を見据えている。 「では、もう一つの目的のほうに移ろうか」  ようやく前方に視線を戻して、シュゼールは足を組んだ。男性美があって様になる仕草だった。 「おれはあんたに礼を言わねばならん。おれの妻を守っていただいてありがとう、とな」  一瞬、不安の表情を走らせてしまったことに、ネルは自ら気づいた。隙をようやく見つけだした策謀の笑みを、シュゼールが浮かべる。  ラインが繋《つな》がったような気がした。