收藏

psp 新作ソフト一覧編集

 案の定、橋本は寝呆《ねぼ》けたことを言った。 「とんでもない」  浅見は思わず、活を入れるような勢いで、言った。 「むしろ、他殺説の論拠が強くなったのではありませんか」 「はあ……、そういうもんですかなあ……。しかし、容疑者が存在していないのですぞ」 「それでは、橋本さん、南品川の稲田教由のアパートの指紋が当山の部屋の電話器にあった事実は、どう説明します?」 「なるほど、すると、やはり、稲田は生きていることに……、え? なに? どういうこっちゃ……」  混乱から脱け出せない。 「つまり、結論を言いますと、連中は、稲田教由という、すでにこの世に存在しない人物をもう一度殺して、保険金をせしめた、ということです」 「死んだ人間を、殺した……」 「そうです。そのためには、死者を蘇《よみがえ》らせて戸籍をはっきりさせる必要がある。南品川のスイートホームがそれですよ」 「じゃあ、南品川のアパートに住んでいたのは、稲田の替え玉だったわけですか?」  橋本はようやく、浅見の論旨が呑《の》み込めた。 「そういうことです。そして、その人物が当山を殺した。そう考えれば、何もかも辻褄《つじつま》が合ってくるのですよ。『しーふらわー』の事件のあと、その人物は、何くわぬ顔で、本来の自分の住所に戻り、生活を続ければいいわけですからね」 「何者です? そいつは」 「そこまでは分かりません。ようやく仮説を樹《た》てたばかりじゃありませんか。しかし、とにかく稲田が消息を絶ったわけは、彼が死亡したとすることで完全に説明できます」 「うーん、しかし、伊勢湾台風の時、当山は死ななかったのに、なぜ稲田の死を隠していたのかな」 「それは分かりませんが、何かそれなりの理由《わけ》はあったのでしょうね」
表示ラベル: