シャネル スカーフ 巻き方
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null「異動がありましたので、辞令簿にも捺《なつ》印《いん》して下さい」 「異動!? どなたですか」 「辞令簿を見たらわかります」  万田教頭は乾いた声で言った。開かれた辞令簿には、木下先生の名前があった。竜太は思わず息をのんだ。その竜太の表情をじっと見守る校長の目と、竜太の視線が合った。竜太は呆《ぼう》然《ぜん》として席についた。木下先生はまだ出勤していない。先週の土曜日、幾人かの仲間と、木下先生の家に行った。その時先生は何も言ってはいなかった。  そう思った時だった。がらりと戸が開いて、木下先生が入って来た。 「お早うございます」  いつもの朗らかな声がひびき渡った。みんなは黙ったままだ。木下先生は落ちついた足取りで校長の前に行った。みんなは息を殺して、木下先生の一挙一動に注目している。竜太は何か叫び出したい気がした。と、校長が立ち上がって、 「木下先生の辞令が出ています」  と、辞令を両手で差出した。 「辞令? 辞令ですか」  すぐには合点がいかず、不審そうに問い返す木下先生に、万田教頭が言った。 「そうです。木下先生、お名残惜しいですな」  教師たちの間に低いざわめきが走った。 (木下先生は知らなかったのだ!)  竜太の胸に怒りがたぎった。 「校長先生、理由は何ですか」  木下先生は落ちついて言った。 「さあ、わたしも驚いているところです」