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 北尾が訊いた。 「気のせいで病気になっている奴もいるんだよ。神様が治してしまう病人は、思ったより多いんだ」 「そんなもんですかね」 「ところが、悪質な神様になると」  風間がまた笑った。 「悪質な神様ってのはいいな」  岩瀬はかまわず続けた。 「そういう風にして信じ込ませた連中を、思う存分食い荒すんだぜ」 「どうやって……」 「たとえば病気を予言するんだ。家族の中に病気にかかりそうな人間がいるってね。このままだと、そいつが病気にかかって一家の前途はまっ暗になるとのたまうのさ」 「それでお祓《はら》いか何かするわけか」 「うん。何だかだと金を捲《ま》きあげる。しかし、捲きあげられるほうは、捲きあげられたとは思わなくなっている。おかげで病気にならずにすんだと感謝するのさ。一度は病人を治してもらい、今度は病気になる所を救ってもらった。二度もあらたかなご利益《りやく》があったわけだから、ますます神様を信じてしまう。自分たちばかりじゃなくて、知り合いに一生懸命PRしてあるくわけだ」 「病気になったらどうするの。嘘《うそ》がバレちゃうじゃないの」  正子が訊く。 「その反対だよ。予言が当たったことになるんだ。神様のおっしゃることはやはり正しかった、ってね」 「なるほど」  北尾が唸《うな》った。 「一度信じさせたらどうにでもなるわけですね」
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