ルイヴィトンダミエ財布偽物
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null「クイズですか」 「そんなところね。名探偵さんに会ったら、そこで開けてみて」        3  我も我もと降りて行く。地下にあっても、天下の銀座駅である。  何本もの路線が交差しているが、伝統ある銀座線はそれだけ天井も低く、ホームも短い。そこを慌ただしく人の群れが階段めざして流れて行く。こちらも流されて十数歩行くうちに、金属の箱に蜜柑《みかん》色の帯一本を無愛想に張り付けたような電車が、反対側の線に轟々《ごうごう》と滑り込んで来た。  東京は人が多すぎるよなあ、と思いつつ、今乗って来た方の電車が巻き起こした風の向こう、くすんだ色の壁に明るく光る広告板を見た。子猫が三匹、小さな足をひょいと上げ、宙に浮いたポーズをとり、〈そうだにゃー〉というように口を開けている。 「おい、リョースケ」  首の後ろで声がした。どきりとする。いわずと知れた千秋さんだ。背をそらせて答える。 「まるで、背後霊ですね」  千秋さんは、横から顔を突き出し、 「混んでるからな」  背後霊はつばの狭いパールホワイトのボルサリーノをかぶっている。帽子の山のふもとをくるりと同色の柔らかな布の帯が巻いている。布には、ベージュグレーの大きめの水玉模様が散っている。 「お待たせしましたか」  向き直って相対すれば、きりっとした葡萄《ぶどう》色のシャツとパンツ。上には、薄曇りの空のように淡々と寂しい色のショートジャケットを、ふわりと着ている。 「いやあ」  千秋さんは、体操するように首を振った。大きな瞳《ひとみ》が、右に左に揺れる。