ルイヴィトンダミエカバン
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null 妹の部屋が、である。 「あそこ……だと思います」  メイリンが指すのは、二階の真ん中あたりだ。  ガラスごしに透《す》けて見えるカーテンに憶えがある、と彼女は言った。 「よっしゃ」  俺はメイリンの腰を抱くと、そのまま土を蹴《け》った。 「ひゃっ!」 「おっとっと。静かにな」  垂直上昇だ。  俺は二階の窓の前に浮いたまま、左腕でメイリンを抱え、もう片方の腕を閉じた窓に向かって伸ばした。  ガラスに腕を突っ込む。  割ったわけじゃない。腕の部分の構造を希薄《きはく》にして、ガラスの分子の間に滑り込ませたのである。  いわゆる、壁抜けだ。  メイリンはその様子を、ぽかん、と口を開けて見つめていた。 「初めて見るか?」 「え、あ、はい」 「そりゃまあ、俺が公社の監視対象になっちまうのも、当然かもな」  ガラスに肘まで突っ込んで、内側から窓のロックを外しながら、俺は苦笑する。