ルイヴィトン財布買取価格
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null エリが言うと、店主は首をふった。 「だったら、あんたたちが食べちまいな。きっとダーリオも、文句は言わんだろうさ」 「こいつ、ダーリオっての?」  いつの間にかいびきをかいて眠っている間抜け男を指さし、エリはたずねる。 「ああ。街はずれにある鍛冶屋の、次男坊だよ。なんか、こんど偉い大アルテ商人に雇われることになったそうだがね。こんなんでやっていけるのかって、街中の評判だ」 「だろうな。いつもこんななのかい?」 「長男坊は、出来のいい親孝行な息子だって評判なんだがね。ダーリオは仕事もほったらかしで、妙なもんばかり作ってるんだ。おかげで親父さんはダーリオの顔を見るたび、頭から湯気だして、怒鳴りまくってる」  こんなふうにな、と客たちのひとりが顔真似をしてみせる。この街では有名な父子なのかもしれない。  ダーリオは店が終わっても、目をさまそうとはしなかった。店主は店の前の道端にでも放りだしておけばいいと言ったが、これもなにかの縁だろうと、エリはダーリオの家を教えてもらい、街はずれまで引ずるように連れ帰ったのだった。  エリたちが滞在する宿に、ダーリオが訊ねてきたのは、翌日の午後だった。  額の傷から流れた血で、とんでもないご面相だった彼しか覚えていなかったエリは、最初かれを見て、それが昨夜の間抜け男だとはわからなかった。額に貼った膏薬《こうやく》と、後頭部の大きな瘤《こぶ》を見せられて、あの間抜け男かとわかったのである。  お世話になったと丁寧に礼をのべられ、夕食に招待された。もちろんエリたちは断ったのだが、ダーリオに「来てくれなかったら父に叱られる」とくいさがられて、招待をうけることとなった。  ダーリオ・ランは、痩せこけた二十代なかばの男だ。ぼさぼさの枯れ草のような髪の間から、金壺眼《かなつぼまなこ》が不安そうにのぞいている。エリよりも頭ひとつぶん背が高いが、目方はおそらくずっと軽いに違いない。  父親のほうは、息子とはおよそ逆の体格をしていた。客の前だというのに、どら声で息子を「でくのぼう」と呼び、びくびくするダーリオを怒鳴りっ放しだった。  芋と鳥肉の塩っ辛い夕食のあと、仲間たちは父親のほうと酒をくみ交わしはじめたが、エリは工房を見学させてほしいとダーリオに案内を頼んだ。  ハイランドにも鍛冶屋はいたが、島には鍛冶屋もその工房もなかった。ただしハイランドの場合、鍛冶屋が扱うものは鉄よりも、翼の枠などにも利用される鉱物のほうが多かった。鉄よりも産出量が多く、なによりも加工しやすく軽い。そのため鉄製品よりも安価で、島人の手にも入り易かったのだ。